「ギターサンダーボルト 殺」へ行ってきました
26日日曜、渋谷wwwで開催されたニンジャスレイヤーライブイベント「ギターサンダーボルト」の2日目「殺」へ遊びに行ってきたので、その感想です。にしてもイベント名が殺ってヤバいですよね。バックステージパスにマジック手書きで一文字「殺」って書かれた写真をTwitterで見たけど、だいぶパワがありました。
イベントの概要は例によって翻訳チームのブログの記事で。要は、去年の「ニンジャスレイヤー フロムアニメイシヨン」でエンディング楽曲を担当したバンドによる合同ライブです。
この日は13時開場で、整理番号を踏まえて少し遅めの時間にスペイン坂へ向かうと、すでにお客さんの行列ができていました。中へ入って、まずは物販で先行販売の物理書籍『ケオスの狂騒曲』を購入。書店での発売より一週間近く先行しているということもあって、中身が気になりつつも、とりあえず上着と共にロッカーへ突っ込んでフロア入り。
ライブ自体はわりと出たり入ったり、お酒を飲みつつニンジャヘッズとお喋りしたりしたかったこともあって全部のステージは見ていないので、順を追ってバンドについての感想を書くなどはしませんけれども、どのアーティストもカッコ良かったね…。自分はクラブミュージックとクラシックのファンなので、普段あまりロックのライブには行かないほうですが、あらゆる先入観を抜きにしてものすごく楽しかったです。
以前、タワレコのインストアライブでThe Pinballsが素晴らしくて、「劇場支配人のテーマ」は楽しみにしていました。あの曲はみんなでアイエエエ!するよね。
特に今回は、事前にテレビで(悪いイメージで)話題になってしまった東大生の子の件があったわけですが、古川さんがMCでその彼に向かってメッセージを送ったときは胸が熱くなったよ。いわく、他人からバカにされても好きなものを好きだと表現すること、自分もあなたと同じタイプなのでそのことを尊敬します(要旨)だって。急に言い出したので最初はなんのことかと思ったけど、すごく真剣なトーンで言葉を選びながら「尊敬する」と言っていたのがとても印象に残った。
音楽的に一番ツボだったのはSawagi!インストのバンドで、ミニマルなリフがどんどん展開してグルーヴを形作っていくさまはスタイルこそロックでも、本質的な魅力はダンスミュージックそのものでした。あと何時間でも聴いていたかったなあ。ぜひどこかでまたライブを見たいと思えるバンドでした。
sawagi最高……最高に最高……
— イビルヤモト (@the_v_njslyr) 2016年3月26日
わかるよイビヤモちゃん。
wwwは以前別のイベントで来ていて2度目でしたが、ラウンジなど一息つけるスペースも十分にあって、7時間の長丁場を感じさせない、始まってしまえばあっという間の一日でした。わりと飲みながらあちこちウロウロしていて、お会いしたことのある顔見知りのニンジャヘッズの方々ともたくさんお話しできました。おそらくはニンジャスレイヤーをご存じないバンドのファンの方々も相当数いたようなので、ニンジャ万博のように隣の人といきなりニンジャの話になったりとかはなかったけれど、すごくいい雰囲気だった。
しかしBorisのライブはカルチャーショックでした…。経験したことのないレベルの轟音、耳栓をしていてすらもクラッと来そうな振動、スモークとライティング込みの演出手法、それより何より、あのスタイルの音楽・ああいうアートフォームでしか表現できない類の美学!
ボンド&モーゼズがアニメの件よりも、ずっと前から名指しでフェイバリットとして挙げているバンドとはこういうものかと思いました。つまり、表現としてメーターを振り切っているというか、常識的に考えられるリミットを超えているんですね。彼らがニンジャスレイヤーという作品を通して小説媒体=文章表現でやりたいことは、初めからこれくらいの熱量の表現だったのだろうなというのが、体を通して理解できました。
そういえば、事前のアナウンスや前日のライブ「忍」に関連して、ライブで使う耳栓のことがTLで話題になっていました。これまであまりライブハウスやクラブに行く機会がなかった方には、わざわざ音を聞きに行くのに耳栓…というのは、違和感があって当然のことだと思います。
ライブ用の耳栓というのは、いわゆる安眠や集中を目的として音をシャットアウトする用途の耳栓とは実はまったく違うもので、音のバランスを(あまり)変えずに聴感上の音量を全体的に下げることができるアイテムです。なので、正確には耳栓というとちょっと語弊があって、会話音や生活音は普通にスルーします。
これはなんというか、海に行くときの日焼け止めだとか、スキーに行くときの防寒対策と同じようなもので、音楽を積極的に楽しむための自衛手段なのですね。
私はEtymotic ResearchのER20という製品を使っていて、幸いなことに今回もこのおかげでライブ後の耳鳴りとは無縁でした。音楽好きな人なんかは、ライブ行って帰ってきた後のキーンというのが心地いいんだと主張してしまいがちですが(その気持ちはよくわかる)、普通に大ケガと同じなので、傷めないに越したことはないわけです。
いやあ、それにしても2014年11月22日の「ギターサンダーボルト #0」から1年4ヶ月、このスケールの2DAYSイベントに至ったというのは、すごいことだと思います。以下は、その時のライブレポート。
ニンジャサウンド・ギターサンダーボルト | 鏡像フーガ:創作同人漫画サークル
ボンド&モーゼズも翻訳チームも、自分の好きなバンドや音楽を、自分の作品(小説!)を通して自分のファンと共有できるというのは、さぞかし幸せで感慨深いことだろうなあとぼんやりと想像しています。作品自体が、音楽という要素と深く結び付いているだけに。
つくづく面白いなと思うのが、作中に登場させた反抗と戦いのシンボル「キツネ・サイン」。
— njslyr_ukiyoe (@njslyr_ukiyoe) 2016年2月26日
作中ではこれが挑発や敵意の表れであるとともに、運命に抗う強い意志や勇気の象徴でもあり、それを称える表現でもあるわけですが、ニンジャヘッズが高々とこれを掲げていても、ニンジャスレイヤーを知らないバンドやバンドのファンは普通にメロイックサインだと思うし、そのことですごく盛り上がるのです。もしボンモーがこういったライブイベントの実現、こういうフロアの光景まで予見して採り入れたのだとすれば、すごいことだなあと思います。だって現実とフィクションのこんなリンクのしかた、めちゃくちゃ感動的じゃないですか。
◇「ギターサンダーボルト忍殺」2DAYS、ありがとうございました◇ pic.twitter.com/zD1PPIBFZ2
— Ninja Slayer (@NJSLYR) 2016年3月26日