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*ニンジャスレイヤー感想ブロゴだ*

『ニンジャスレイヤー』を改めて真剣におすすめする

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暮れですし、今年のできごとをあれこれと振り返ってみるうえで、やはり自分がハマり続けている『ニンジャスレイヤー』という作品について、きちんと書いておかなければいけないような気がしたので、書きます。いち読者の目線から、主に「ニンジャスレイヤーが何なのかまったく知らない or 話のネタのレベルでは知っている」方、それにも増して「前は読んでいたけど最近は読んでいない」方へ向けた記事です。

目次

  1. (改めて)『ニンジャスレイヤー』とは
  2. 「ニンジャスレイヤーって最近どうなの?」
  3. Twitter連載リアルタイム読書のすすめ
  4. (おまけ)ファンコミュニティの2016年

 1.(改めて)『ニンジャスレイヤー』とは

漫画やアニメ発と思われているケースがたまにあるようですが、原作は1990年代にブラッドレー・ボンド、フィリップ・ニンジャ・モーゼズという2人のアメリカ人によって書かれた小説作品です。正確には「サイバーパンク・ニンジャアクション小説」。日本では、本兌有、杉ライカ両氏らによる翻訳チームが2010年よりTwitterアカウント@njslyr上でリアルタイム翻訳連載を開始し、2年後に角川より書籍版のシリーズ刊行がスタート、その後3種類のコミカライズやオーディオドラマ化を経て、今年の春から夏にかけて地上波でのアニメ全13話が放送されました。同時に、忍殺語などと呼ばれる独特の文体やフレーズ「アイエエエ!」「イヤーッ!」「グワーッ!」「ドーモ、○○=サン」が、ここ数年でネットミーム化しているので、その形で触れた方もいるかもしれませんね。

近未来の日本「ネオサイタマ」を舞台に、平安時代に端を発する超人的能力「ニンジャソウル」を宿した邪悪なニンジャ達に対し、愛する妻子をニンジャに殺された過去を持つ主人公フジキド・ケンジが自らニンジャとなり、ニンジャを殺す者「ニンジャスレイヤー」として復讐を挑む、というストーリーです。

「外国人が描く少しズレた日本」という視点をベースとして、サイバネティクスや電脳空間などのSFガジェット、あるいはケオスから立ち上る反体制・反権力といったパンク性を映像的・映画的な緻密な背景描写に織り交ぜながら、シリアスとユーモアをバランスよく両立させているところが魅力です。もちろん、情感豊かな物語や多彩なキャラクター、ミニマルな反復によって極限までスピード感を追求したカラテアクションシーンも。

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原作小説は基本的に単話読み切りで、時系列順もバラバラのため、どこから読み始めても構わないというのが本作の特徴のひとつ。ニンジャスレイヤーが登場しない話もあれば、ネオサイタマ以外が舞台の話もあります。書籍にして十数ページで終わる掌編もあれば、複数のエピソードの連続からなる長編もある。

とはいえ、シリーズとしての大まかな括りはあって、第1部、第2部…といったように区別されています。アニメ化されたのが、ネオサイタマを舞台にニンジャスレイヤーの誕生とニンジャ集団「ソウカイヤ」との戦いを描いた第1部。書籍の刊行が進んでいるのが第3部の半分くらいまで(通巻18巻&以下続刊)、Twitterアカウント上で現在連載中なのが第4部です。

2.「ニンジャスレイヤーって最近どうなの?」

「前は読んでいた」「アニメでちらっと見たので作品の雰囲気は分かる」という方はけっこういるのかもしれません。あるいは、アニメの完結や一部コミカライズ作品の連載終了といったような情報、定期的に刊行される原作小説のボリュームの多さとそれに対する話題性の低さなどから、バズ的なブームはひと段落して、いわゆるコンテンツ的な落ち目を迎えていると思われている可能性も…?

否!ニンジャスレイヤーって今も新しい話が連載中で、変わらずめちゃくちゃ面白いし、ファンコミュニティの熱量は全然下がっていない。なのに、その面白さがいまひとつ壁の向こう側に伝わっていない気がするのです。

僭越ながら原作ファン(=ニンジャヘッズ)の一人として、2016年のニンジャスレイヤー界隈の動きについて簡潔にまとめてみると…。

第3部が完結しました

まず、原作小説の第3部「不滅のニンジャソウル(Ninja Slayer Never Dies)」が、足掛け4年間の長きにわたるTwitter連載を経て遂に完結しました。第1部~第2部で直接的な妻子の仇を打ち果たしてしまったニンジャスレイヤー=フジキド・ケンジ。復讐という大きな目的を失った彼が、新たな敵「アマクダリ・セクト」に対して三たびイクサを挑むことになる顛末と、その果てに彼と世界に何が起きたのか、ということが描かれました。

第3部は、ニンジャスレイヤーが主人公でない単話読み切りの作品も多く、作品スタイルのバリエーションが豊かであることが特徴です。エーリアス、ユンコ・スズキ、レッドハッグ、サークル・シマナガシの面々などの魅力的なキャラクターの初登場回も。
その一方で、長期にわたる連載のなかで明確なテーマや敵の動機や目的がなかなか示されず、本筋のストーリーを追っていくのは第2部以上に大変だったかもしれません。アマクダリやアガメムノンは世界を支配してどうしたいのか?ニンジャスレイヤーは世界を救うヒーローになろうというのか?など、ややもすると誤解してしまいそうな点がいくつもありました。

しかし実は、第3部を通してボンド氏とモーゼズ氏が描こうとしていたことは、一貫して非常に分かりやすく明快です。お仕着せのルールに黙って従うを良しとせず、何を為すかは己が決め、そのエゴを貫き、抗い、そして抗うべし。正しくサイバーかつパンクであり、そして最高に熱いニンジャアクション小説なのでした。原点回帰とも言えると思います。個別のエピソードをバラバラに読んでも面白いし、多くのリライト&再構成が施されて全体の流れを掴みやすくなるはずの、物理書籍版の今後の刊行分にも期待しています。

第4部の連載がスタート

第3部の完結からほどなくして、第4部「エイジ・オブ・マッポーカリプス」の連載が始まりました。詳しくはネタバレになるため伏せますが、舞台は、第3部終了時点からおよそ10年後の世界。ある事情からもはやニンジャスレイヤーではなくなったフジキド・ケンジに変わり、マスラダ・カイという青年が新たなニンジャスレイヤーとなります。頼りない金髪ハーフガイジンハッカーでピザ屋のタキ、自我の芽生えたオイランドロイドであるオールド映画マニアのコトブキと共に、殺されたアユミ=サンの仇であるニンジャ「サツガイ」の足跡を追う。他方、作品『ニンジャスレイヤー』は依然としてフジキド・ケンジの物語であり続けるとのことで、徐々にフォーカスはフジキドの新たな戦いぶりにも当てられてゆきます。

これまでとは異なる連載スタイルの特徴として、カットアップ方式でない時系列に沿ったコンパクトな連作ストーリー、海外ドラマのようなシリーズ構成が挙げられます。いま現在は、第5話にあたるエピソード「アセイルド・ドージョー」がちょうど終了したところ。ここに至り第4部のおおまかな方向性が見えてきて、新しい謎や伏線が一気にババッと提示されたような感じです。とにかく、続きが気になる!

第2話「マーセナリイ・マージナル」で示された闇のプロ受験生リーグ「ヒョットコム」の設定なんかは、いかにも忍殺らしいですね。

 また、ニンジャスレイヤーはとある手段でインドネシアに飛び、ボロブドゥール遺跡で蘇った古代のリアルニンジャの支配する街ヨグヤカルタで「サツガイ」一派のニンジャと対します。リアルニンジャと憑依ニンジャ、日本と世界が入り乱れ、ダイナミックに交錯するのも第4部の特徴になりそう。そしてニンジャスレイヤーは遂に「かつてのニンジャスレイヤー」フジキド・ケンジとすれ違い…。

まだまだ序盤ではありますが、ここまで読んできたうえで私が自信をもって言えることは、第4部も引き続きニンジャスレイヤーはニンジャスレイヤーであり、フジキドはフジキドであるということです。

「ニンジャスレイヤープラス」の開始

さらに2016年の大きなトピックとして、Webサービス「note」において、ニンジャスレイヤーの有料課金コンテンツ「ニンジャスレイヤープラス」の公開が始まった点が挙げられます。ニンジャスレイヤー翻訳チームの母体である作家集団「ダイハードテイルズ」が主宰し、彼らのアカウント上で展開されています。

これは単純に、いままでTwitterで無料公開されていた連載のログが有料になる…というような話ではもちろんなく、加筆修正を経た第4部連載のまとめ、本筋とは直接関係しない枝葉の書き下ろしサブストーリー、未公開設定資料、過去作のリライトなどからなる、主に重篤ニンジャヘッズ向けのコンテンツ群で、月額490円が設定されています。NetflixApple Musicなどのサブスクリプション制コンテンツ供給サービスのひとつと考えていいと思います。

私はこういったサービスの開始はむしろ以前から待ち望んでいて、書籍や関連グッズ以外で作家を支援する手段はないものかと考えていました(以前、任意のドネート窓口が用意されていた時期もある)。このいわば小規模パトロン制度、文芸・音楽・漫画イラストを問わず、どんどん一般的になればいいなと思うんですよね。

コンテンツはいまところハイペースで追加されていて、非常に満足度は高いです。サブストーリーと言いつつ、アコライトやヤクザ天狗のような人気キャラクターが主人公の書き下ろしもあれば、第4部キャラの別の側面が生き生きと描かれたコミカルな短編もある。これでたったの490円は実際安い!

なお、第4部の連載、およびニンジャスレイヤープラスについては、翻訳チーム自ら解説している下記のブログ記事が分かりやすいです。

翻訳チーム(ダイハードテイルズ)の活動の多様化

このように、ニンジャスレイヤーの供給チャネルは多様化しているわけですが、同時に翻訳チームの方々の作家活動が多様化したのも今年でした。後述するレディオ(音声コンテンツ)のなかで語られていたことですが、作家集団「ダイハードテイルズ」に所属する本兌さん、杉さんが今年お二人とも専業作家になられたとのことで、そうしたこととも関係があるのでしょう。

まず、10月には筑摩書房より新単行本『ハーン・ザ・ラストハンター: アメリカン・オタク小説集』が発売されました。

ハーン・ザ・ラストハンター [編]ブラッドレー・ボンド [翻訳] 杉 ライカ/本兌 有 筑摩書房

これは、ニンジャスレイヤーでお馴染みのブラッドレー・ボンド氏が蒐集したアメリカ国内の同人小説を集めたコンピレーション作品で、ニンジャとはまた違う切り口から日本を描いた、ソリッドな作品が収録されています。ノッペラボウを銃殺し、お岩さんをダイナマイトで爆殺する小泉八雲が主人公の表題作に加え、ハードコアな洋ゲーMMOのNPCが日本の平和なオンラインRPGに乱入するカルチャーギャップ小説、センパイの概念が拡張し続ける学園ロボットアクション、豆腐SFスリラーなど。

さらに11月には、角川よりジェイ・クリストフの和ものスチームパンクファンタジー小説ストームダンサー』の邦訳版が発売されました。これは当ブログでも前回の記事に書いた通りですね。

また、note及びKindleでは、本兌有氏による『ペイルホース死す!』『ザヴとイビの冒険』、杉ライカ氏による『灰都ロヅメイグの夜』などの読み切り作品も公開されました。過去作だったり書き下ろしだったり、いずれもが未公開のもので、こちらも大変楽しく読みました。
重要なのは、これらの作品を通じて、私はニンジャスレイヤーのファンというか、作家としての本兌さん、杉さんのファンになったという点です。これだけの物量の作品を絶え間なく生み出し続けるというのは只ならぬことだと思うし、創作について共感する点が多い。その手法や目指すところというのを、この先も見届けたいと思っています。

で、そういったファンにとって嬉しかった企画が、Twitcastingを通しての「ダイハードテイルズ・レディオ」。両氏が、時にゲストを迎えて近況を報告したり質問に答えてくださるストリーミング音声コンテンツで、第6回までのログがnote上で公開されています。

公式物理イベントの開催

3月には、ライブイベント「ギターサンダーボルト」が開催されました。Borisギターウルフ人間椅子、The Pinballsなど、アニメのエンディングテーマを担当した12のバンドを招いての2デイズ。

また、5月には中野でアニメの原画展もありましたね。

…以上、今年2016年の界隈の動きをざっとまとめました。とにかくここで強調したいのは(そして翻訳チーム自身も折に触れて仰っているのは)、ニンジャスレイヤーは第1部のアニメが終わったからと言って終わるわけではなく、リアルタイムで熱いコンテンツであって、なおこの先もサヴァイヴし続けるだろうということです。そして更に言えば、もし今からニンジャスレイヤーを読み始めるなら、新展開の第4部が面白くなり始めた今こそジャストタイミングなのでは…ということ!

3.Twitter連載リアルタイム読書のすすめ

さて、そのうえでおすすめしたいのが、Twitter連載に合わせたリアルタイム読書のスタイルです。ハッシュタグ#njslyrで行われている「実況」ですね。私の知る限り「物理書籍派」のニンジャヘッズはけっこう多く、もちろん書籍は加筆修正もされている完全版とも言える内容なので、作品を楽しむにあたってはそれで充分なのです。なのですが、敢えて連載をリアルタイムで追うのは、これとはまったく違う読書体験なのだということを主張したい。

そもそもTwitter連載版ニンジャスレイヤーは、6年にも及ぶ連載のノウハウを集約した、Twitterに最適化したコンテンツとして翻訳連載されているもので、この同時代性は「今だからこそ体験できるもの」だと思うからです。

ニンジャスレイヤーを読むには何をどうすればいいの?

その前に、まったくの初心者がニンジャスレイヤーを読むにあたって、何からどうしたらいいのか、ということをまとめておきますね。

まず原則として、ニンジャスレイヤー原作小説の日本語版は第1部から連載中の第4部まで、ほぼすべてを無料で読むことができます。この先永遠にかは分かりませんが、現状そうです。

Twitter連載分のログが有志によりTogetterにまとめられており、そのインデックスがこちらも有志による下記のニンジャスレイヤーWikiにあります。なので、PCブラウザから手っ取り早く読む場合はこちらがいいでしょう。

ニンジャスレイヤー Wiki*

また、有志によるスマートフォン向けリーダーアプリがあります。データとして参照しているのは上記のTogetterのログなので、内容としてはまったく同一のはずです。Androidユーザーの方なら「Njslyr Reader」、iPhoneの方なら「NJRecalls」。いずれも非常に便利で優秀なもので、私は3部途中までのほとんどの連載分をアプリで読みました。

NJRecalls

NJRecalls

  • R. Natori
  • エンターテインメント
  • 無料

紙の書籍で読みたいという方は、角川からシリーズ刊行されている物理書籍を書店で探してみてください(ニンジャスレイヤー物理書籍公式サイト)。一見して辞書のごとく分厚く、怯んでしまうところですが、これは海外小説のパルプ感を重点した装丁とのことで、実際にはさくさく読めます。定価1,200円(税別)で、通巻18巻まで出ています。書店では、海外文学よりもライトノベルの棚にあることが多いです。

基本的には案内されている通り、どの巻から読んでも支障はないのですが、各部の最終章(「ネオサイタマ炎上4」および「キョート・ヘル・オン・アース」上下巻)は後回しにしたほうがより楽しめるでしょう。

上記いずれの場合も、先に挙げたWikiを併読するといいと思います。興味を持ったキャラクターや用語を芋づる式に辿っていくことで、沼にハマっていけるはず。

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いやいや、手っ取り早く今すぐなにか原作小説を読んでみたいんだ、という方には…第3部より「ナイスクッキング・アット・ザ・ヤクザキッチン」という短編エピソードなんかはどうでしょうか。短いながらも、ディストピア・ネオサイタマの殺伐、サイバーパンク的雰囲気、ちぐはぐな可笑しさ、ニンジャの暴虐とそれを上回るニンジャスレイヤーの恐ろしさ、儚くもワビサビを感じさせる読後感…と、ニンジャスレイヤーらしさは十分に味わえます。

あるいは、今であればアニメや漫画から入るのもいいかもしれません。地上波アニメの第1話は、制作スタジオのトリガー公式YouTubeアカウントで全編が無料公開されています(『ニンジャスレイヤー フロムアニメイシヨン』第1話「ボーン・イン・レッド・ブラック」/「マシン・オブ・ヴェンジェンス」 - YouTube)し、余湖・田畑先生によるコミカライズ版(通称「無印」)も原作同様、WikiからTogetterまとめを辿れます。

リアルタイム読書の利点

そして、ここからが本題のリアルタイム読書のすすめです。とはいえ、いきなり連載中のTwitter実況に飛び込むのに躊躇してしまう気持ちは、私にもよく分かります…。おそらくその方は私と同じで、RPGとかでラストダンジョンに挑む前にすべてのイベントをこなさないと進めず、そこで何ヶ月も足踏みしてしまうタイプでしょう。ですが、実はそんなことは全然気にせず、今から始めて構わないのです。

リアルタイム読書ならではの利点は少なくとも3つあると考えていて、それは「当事者性」「共感」「発見」です。

最初の「当事者性」は紙芝居のライブ感と言い換えてもいい。物語が今ここで起こっているという感じ。ブラウザ、あるいはアプリをリロードする1ツイートごとに何が起こるか分からないという状況、それが発信者にコントロールされている感覚は、必然的に読み手を作品世界に引きずり込んでくれます。

2つめの「共感」は、作中の出来事に対するリアクションを共有できる面白さです。想像してみてください、月に向けて発射直前のスペースシャトル、秒読み段階で飛び込んできた宇宙服を着たニンジャスレイヤーが機体に飛びついて宇宙に行ってしまったときのTwitterタイムラインのざわめきを!これは言わば、ニコニコ動画のコメント機能と同じことですね。

そして3つめの「発見」。本作はオマージュと伏線とリフレインが複雑に折り重なった作品で、自分ひとりでは決して辿り着けない仄めかしが読んでいくうちにいくつも現れます。そんなとき実況タイムラインを眺めていると、誰かがそういった要素を目ざとく発見して指摘してくれる。これは「ヘッズ集合知」などと呼ばれたりしています。

その他、ここで語り切れないTwitter読書・リアルタイム読書の利点を、ヘッズのhatikaduki=サンが下記のブログ記事でとても分かりやすく解説してくださっています。

リアルタイム読書の始めかた

よく分からないがやってみよう!と思ったあなたに第一におすすめしたいのが、ニンジャ専用Twitterアカウントを作ることです。もしあなたが既にTwitterを利用していたとしても、ぜひサブアカウントを作ってください。読んでいくうちにあなたはきっとヒートアップして、njslyrアカウントのツイートを大量にRTしたり、傍から見ればトンチキなニンジャ考察をぐるぐる目で始めたりしてしまうはずなので、狂人と思われて既存の人間関係に支障をきたさないためにも、まっさらなアカウントから始めるのがいいです。そうでなくても、気後れせずにいつでもTwitterでニンジャのことを書けるのがうれしい。「そこまでハマるか分からないし…」という方、私も最初はそう思っていました

第二に、連載時に#njslyrハッシュタグの検索結果を眺めて、意見や感想が合いそうなニンジャヘッズをどんどんフォローしてみましょう。タグで実況しているようなニンジャヘッズは基本的にオープンマインドで、ニュービーに対してやさしく、噛んだりしない。
なお、公式アカウント@njslyrにおけるニンジャスレイヤー本編の連載は完全に不定期で、最近は22時~24時くらいの時間帯にやることが多いようです。連載のある日は、当日のどこかで「◆〇◆」(サキブレ=先触れ)がツイートされる、などの目安があったりはします。

第三に、ニンジャスレイヤーを読んでいて思ったことや感じたこと、つまり感想は、どんどんアウトプットしたほうが良いです。過去のエピソードとの繋がりが分からずに誤読してしまったり、あるいは場違いな発言をするのではないかという不安はもっともですが、奥ゆかしく常識的である限りは、まったく気にしなくていいと思います。むしろ、重篤ヘッズは常日頃からニュービー読者特有の新鮮なリアクションや瑞々しい感想文に飢えており、急にあなたのツイートがめちゃくちゃRTされたりフォローされたりするかもしれません。いじめているわけではないのでごあんしんだ。

そして、フォロー/フォロワーがニンジャヘッズで埋まるようになってくると、だんだん#njslyrハッシュタグを追う必要もなくなってきます。タイムライン自体がニンジャに特化してきて、連載がない時間帯もニンジャの話題で埋まるようになる。そうなるともはや手の施しようがありません。

よくあるごしつもん 

――ニンジャスレイヤーって勧善懲悪アメコミヒーローものでしょう?

正直私も最初そういうイメージでしたが、全然違いました。別に正義のヒーローが出てきて悪者をやっつけるだけのお話なら、私もさして興味はないんですけど、ちょっとそういうのとは一線を画した小説です。キャラクターも物語の方向性も極めて多彩な作品なので、もしひとつのエピソードがそういう感じでも、別のエピソードを読んでみると、また全然違う感触に出会うはず。

――文体が受け付けないんだけど。

慣れます。私も記憶を消してその違和感を再び味わいたいです。

――何から読んでいいか分からない。

本記事の上のほうに書きました。紙の本で読みたい方へは基本は書籍の1巻ですが、場合によっては、翻訳チームによるこちらのガイド記事なんかを読んでみてはどうでしょう。

――どこに売っているか分からない。

本屋さんのライトノベルの棚、文庫本より少し大きめのサイズのシリーズものが収められている棚にあることが多いです。ただ、アニメが終了した弊害なのか、最近はどの書店もバックナンバーの入荷を絞っているようで、大きめの店舗であっても最新刊+1、2巻程度がランダムで置いてあるというような状況のことが多いです。残念ながら…。

――日本人が書いているんでしょう?

私はニンジャヘッズになってじき4年ですが、結論としては、原作者のボンド=サン&モーゼズ=サンはあらゆる意味でいます

4.(おまけ)ファンコミュニティの2016年

最後に余談ですが、ニンジャヘッズのファンコミュニティにおける二次創作活動の現状についての私見をまとめておこうと思います。ニンジャスレイヤーは、公式側が二次創作イラスト(=ウキヨエ)を積極的にRTしたり、同人誌の発行についても出典を明記する等の一定のルール下で認めるなど好意的なこともあり、黎明期からファンの活動が活発なジャンルです。

今年は、有志によるオンリー即売会&イベント「ニンジャ万博」の第3回が10月に大崎でありました。惜しくも主催者様側のご事情で今回が最後の開催とのことでしたが、即売会直接参加サークルは60以上を集め、過去最大規模になりました。

また、11月には秋葉原MOGRAでニンジャヘッズ音楽イベント「ヘッズ・ムレ・チイサイ・レディオ3」が開催されました。こちらは大盛況につき早くも次回が予定されており、来年5月とのことです。

コミックマーケットは言うに及ばずなわけですが、今年に限れば、参加サークル数は去年よりも縮小傾向にあるようです(ちなみにコミケのサークル配置ではFC小説ジャンルに該当しますので、冬は2日目です)。

ニンジャスレイヤー二次創作作品に関しては、以前から書店のCOMIC ZINさんが委託の取り扱いに積極的で、店舗・Web通販いずれもジャンル規模に比べて破格の厚遇を受けています。まだ手に入る名作同人誌がたくさんありますので、ご興味のある方はこちらを辿ってみてください。

COMIC ZIN 通信販売/商品一覧ページ

自分の2016年の活動を振り返ると、やはり第3部のキャラクター「ユンコ・スズキ」をテーマにしたアンソロジー本『PATCHWORK』を主催したことが最も大きなトピックです。30名もの作家さまにご参加いただき、本文100ページ超の充実した本になりました。上記のCOMIC ZINさんでもまだ引き続きご購入いただけますので、よろしくお願いいたします!