R-9のおでかけ修行ハウス改善

*ニンジャスレイヤー感想ブロゴだ*

『ニンジャ学会誌 895号』に寄稿しました

あけましておめでとうございます。今年もよろしくお願いします。

年を跨いでしまいましたが、30日の冬コミ2日目に参加されたみなさまお疲れさまでした。私は今回は自サークルでは申し込んでいなくて、「ニンジャ学会」さんの売り子(というほどのお手伝いはしていない…)で参加しておりました。打ち上げ、二次会等々でお会いできた方、ドーモでした。

というわけで、憧れの『ニンジャ学会誌』についに載せていただいたのでした!思えば15年の冬コミ、第1作となる『893号』の打ち上げにたまたま同席する機会があり、そこでまだ片鱗すら見えていなかったニンジャスレイヤー4部の世界観の予想についての話だとか(概ね当たっていた)、名鑑でしか登場していないダークカラテエンパイアのニンジャの名前がすらすら出てくる様子を見て「私はこういう濃いニンジャヘッズコミュニティに参加したかったんだ!」と感じたのがきっかけでした。以来、いずれ何か自分でも書けそうなネタがあれば寄稿したいなと。

簡単にご紹介すると、『ニンジャ学会誌』はサークル「ニンジャ学会」さんが発行する合同誌。学術論文やコラムを満載したお堅いアカデミックな学会誌?かと思いきや、れっきとした全年齢向け「ニンジャスレイヤー」二次創作同人誌です(発足の経緯は以下のTogetterにて)。

ニンジャ学会発足 - Togetterまとめ

今回の新刊895号は、理系から文系まで手広くカバーするばかりか、執筆者もページ数も増えて読みごたえ十分の内容となっています。なにしろ目次の文字列から発せられるパワーがすごい。表紙のカラフルな美しさも相まってクラクラきます。

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冬コミ当日は、午後1時くらいには早くも完売してしまいました。ちなみに上の写真の左側に映っているのは、当日界隈を騒然とさせた「飲むニンジャ学会誌」。らせん=サンのアイデアで主宰のかせいさんによって制作され、実際に「新刊」として頒布されました。

895号については、COMIC ZINで店舗委託分の販売が開始されたようなので、気になる方はぜひ早めにチェックしてみてください。

以下、蛇足と知りつつも、自分が寄稿した作品についてのフォローとかを。

 「J.S.バッハ作品にみるニンジャ象徴論的諸相」

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バッハはニンジャである、というようなことを一生懸命書きました。私は「ニンジャスレイヤー」に対してと同じくらいJ.S.バッハの熱狂的なファンというか信奉者で、やるならこのネタがいいなと以前からあたためていました。

とは言っても、私は音楽学が専門でも何でもなく(西洋史学専攻で卒論は古代ローマ史)、大部分は見よう見まねと雰囲気で乗り切りました。書きたいことは決まっていたので、2日間くらいで集中して書き上げました。

先行する2冊のニンジャ学会誌を拝読して、個人的にこの学会誌の論文の面白さは「真実とトンチキの配合バランス」だと考えており、そこは最後まで気を配ったところです。かつ、二者が傍目には区別がつかないくらい巧妙に交じり合っている状態があったり、誰の目にも明らかにトンチキの状態があったりというのが、雑に共存しているようなものを目指しました。

f:id:epxstudio:20170105215948j:plain♯はすべてスリケンである」がややウケていたみたいで嬉しかったです。ここは言い切ってしまったほうが頭のおかしい感じが出ると思って、途中で表現を変えたところ。この人は基本的に楽譜の読みかたをまったく知らないのではないか。

例えば、若きバッハが路上でバスーン奏者に切りかかったくだりは実際にあったこととされており、厳格で真面目なイメージのあるバッハがその実、血気盛んな若者であったエピソードとして知られています。

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本文で紹介している音楽についても少し。「マタイ」の第45曲にあたる裁判のシーンとはこちらです。譜例1で引用している箇所はこの曲の最後の部分。

ここだけ聴いてもなんだかなとは思いますが、最初の2分くらいまでの部分がレチタティーヴォ(語り)で事態の成り行きを紹介しているところ、それ以降が民衆が「十字架につけろ!(Laß ihn kreuzigen!)」と叫んでいる不協和音のフーガの部分です。ここの恐ろしさ、ニンジャでしょう!
この合唱のショッキングなくだりは有名で、わりと新しいルネ・ヤーコプス盤のプロモーション動画でもいきなり冒頭で採用されています。

また、譜例2の「アラバマオトシ音型」として紹介しているものは、下記の動画の1分33秒から38秒のあたりの、特に低音パートを注意深く聴いていただけると分かると思います。

このヘレヴェッヘ氏の録音はいずれも大変素晴らしいもので、最初に聴くマタイとしてもお薦めです。長いですが、機会があればぜひ通して聴いてみてください。

最後に、高速戦闘する二者のニンジャとして紹介している譜例3は、平均律第1巻の2番のフーガです。このあたりはアナリーゼの動画がたくさんあり、同じ主題が色分けされているこちらなんかは分かりやすいです。

バッハのフーガの圧倒的な構成美に感動してしまうのは、例えば「フーガの技法」のコントラプンクトゥス9とかもそうです。これとかはもう人知を超えたニンジャの世界ですね!

ともあれ、思う存分バッハとニンジャのことが書けたので楽しかったです。参加させていただいたニンジャ学会さま、どうもありがとうございました。