R-9のおでかけ修行ハウス改善

*ニンジャスレイヤー感想ブロゴだ*

ユンコアンソロジー本を作ってみて(前編)

f:id:epxstudio:20161023151810j:plain

おかげさまでユンコ・スズキアンソロジー『PATCHWORK』は無事に完成しまして、改めて参加者の皆さま、お買い上げいただいた皆さまありがとうございます。にんぱくが終わって2週間ですが、早くも来年秋のプチオンリーイベントや、それに合わせた新しいアンソロジー企画の機運が高まっているようですね。

ユンコアンソロは、私がアンソロの主宰を経験するのが初めてだったこともあり、企画を進めるにあたっては様々な方の意見を参考にしました。特に、要点が箇条書きで簡潔にまとめられた「ニンジャ学会誌」主宰のかせいさんのブログ記事は大変参考になりました。

kasei-san.hatenablog.com

そんなわけで、せっかくの体験ですので、ユンコアンソロ企画を通して学んだことや気を付けたことなどを、私もまとめておこうと思います。これからアンソロ本を作ってみたいという方の何かのご参考になれば。

企画立ち上げ:いつから準備するか

企画を立ち上げたのは今年1月でした。当初頒布を予定していたのは8月の夏コミだったので、おおよそ7ヶ月前には準備を始めたことになります。成り行きや当時考えていたことなどについては記事があります。

epxstudio.hatenablog.com

とはいえ、今思えばこれはかなり余裕のあるスケジュールでした。実際に募集を開始したのは2月(頒布6ヶ月前)、参加申し込みと原稿締め切りがともに6月(頒布2ヶ月前)。実際にはもっと短いスケジュール感でも無理なく進められることと思います。

なぜこんなに早く事前準備を進めたかというと理由はひとつで、企画を周知する期間を可能な限り長くとって、多くの作家さんに参加してほしかったからです。アンソロでけっこう悲しいのが「参加したかった!…のに、募集をしていること自体を知らなかった」というパターンで、せっかくの機会なのにそれはもったいないですよね。今回の本は、こちらから作家さんにオファーして寄稿してもらう形ではなかったので、知り合いでない方にもできるだけ気軽に、こんな企画があるならやってみようかな、と思ってもらえることを第一に考えていました。

スケジュールを引くにあたって必須なのは、ふつうのことですが、イベント日(頒布開始日)から印刷所の締め切り日、編集に必要な期間、原稿締め切り、参加申し込み締め切りを逆算していくことですよね。
具体的な話をすると、今回は次のような日程になりました。

  • 参加申し込み締め切り日:6月12日
  • 原稿締め切り日:6月19日
  • すべての最終稿が揃った日:7月3日
  • 印刷所への入稿日:7月8日
  • イベント日(コミケ):8月12日

余裕をもって進めていたおかげで、印刷所へはだいぶ早期入稿ができました。しまや出版さんの夏コミ合わせのキャンペーンで、30%オフが適用された形です。ユンコアンソロの場合だと、通常料金であれば6ケタ円のところの3割引なので、これはけっこう大きいです。スケジュール管理がダイレクトに費用に関わってくるというのは、気を遣うべきポイントかもしれません。

何が必要か

アンソロジー本を主催するにあたって、最低限必要なのは「自分ひとりで同人誌を作った経験」と「よそのアンソロジー本に参加した経験」の2点くらいじゃないかなと思います。前者は実際に本を作る要領を知っているということ、後者は、参加者とのコミュニケーションに際してどこに気を配ったらいいかを把握しているというような意味合い。

参加者とのコミュニケーションを密にしていこうというのは決めていました。一斉メールでお送りした総合案内は計8通ほど、あとは個別に原稿のやりとりについてかなりの量のメールを書きました。プラス、Webサイトでの告知関連テキスト、Twitterでの告知、などなど。私は本業がWebディレクターで、こういった事務的なやりとりはまったく苦にならないのですが、苦手なひとはここが一番メンドクサイかも。二次創作そのもの、絵や文章をかくこととは関係ない部分ですからね。

アンソロ企画用のTwitterアカウントは、今回は作りませんでした。別にあってもよかったのですが、なるべく主宰の顔が見える企画にしたいとの意図がありました。例えば私が全く知らないコミュニティのアンソロ企画に参加したいなと思ったとき、「中の人」がどういう人なのかは参加するかしないかを判断するための重要なファクターかなと考えたのです。

告知用サイトは多分あったほうが良くて、これは別に凝ったものでなくても、とにかく募集要項が文章としていつでも参照できる状態にあればいいと思います。参加者募集フォームも何でもいいと思いますが、入力していただいたデータが自動的に表としてGoogleドライブに格納されるGoogleフォームは便利です。

費用のこと

先ほども少し触れましたが、ある程度のページ数と部数の本となると、それなりに費用がかかります。今回、参加者に向けて情報をクリアにしておくためにも、お金に関することは慎重に決めました。次のようなことですね。

  • 作家さんに原稿料を支払うかどうか
  • 頒布価格はどれくらいにするか
  • 黒字または赤字になった場合どうするか

まず、今回は公募形式ということもあり、原稿料はお支払いできませんということは最初にアナウンスしました。これはいろんなやりかたがあるので一概には言えないことですが、要するに、売り上げによる利益を、作者に還元する(=原稿料を支払う)か、読者に還元する(=本の価格を安くする)か、あるいは企画自体に還元する(=次回以降の企画の資金にする、どこかしらにドネートする、などなど)かのさじ加減によるのではないかと思います。

もし企画側から描いて/書いてほしい作家さんにオファーするのであれば、原稿料の交渉が必要になってくるでしょう。というか、作家が安値で買い叩かれるみたいなことが話題になりがちな昨今、お作法としてそうであるべきな気はしますよね。

で、今回ユンコアンソロとしては、とにかく利益は頒布価格に還元するイメージで、つまり安くたくさんの方に読んでもらう方針にしました。売り切ってようやくトントンくらいにしようと。幸い、コミケのあとににんぱくも控えているというイベントスケジュールだったので、○○部くらいは売り切ることができるだろうという具体的な見込みはありました。

長くなったので後編に続きます!

epxstudio.hatenablog.com