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R-9のおでかけ修行ハウス改善

*ニンジャスレイヤー感想ブロゴだ*

『ネオサイタマ・ネヴァーダイズ』に参加しました

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 サークルTWO-PAGEさんのにんぱくファイナル新刊『ネオサイタマ・ネヴァーダイズ』に参加させていただいたので、そのへんのお話を書きますね。

本について

「にんぱく合わせで一緒に何か作りましょう!」となって、ゆんぺす=サンとうさぎ小天狗=サンとお茶しながら実際に打ち合わせをしたのが9月初旬。そこから一ヶ月ほどで完成したのがこの本です。にんぱくに向けてそれぞれに複数タスクを抱える中の進行で、なかなかのスピード感でした。

始めは、なにか原作エピソードのその後の話を想像で書いたら面白いのではというところから、それなら『ニンジャスレイヤー・ネヴァーダイズ』のあの一夜の話に絞ってはどうかというアイデアに至り、さらに、あの夜あの話に「出演しなかった」人たちがどう過ごしていたのかを描いたオムニバスにしましょう、という流れになったと記憶しています。実際のところ、ニンジャスレイヤー第3部の連載が完結した直後に、そこまで読破しているヘッズの割合が世界最高レベルで高いにんぱくという即売会で出せたことは、これ以上ないベストのタイミング、ベストの企画だったと思います。すごい本ですよ。

収録作品は以下の通りです(掲載順)。

  • R-9「ストローリング・ダウン・ザ・ケイオス」(漫画)
  • うさぎ小天狗=サン「ホワイル・ネオサイタマ・スリープス」(小説)
  • ゆんぺす=サン「ア・グレイト・デリバリー・オブ・オウンウォー」」(漫画)

事前に打ち合わせで決めたのは全体のコンセプトだけで、どのエピの誰をどのように描くか、内容の摺り合わせはほぼ行いませんでした。なので、各自が原作版『ニンジャスレイヤー・ネヴァーダイズ』をどう読んだかによって、本の方向性が大きく変わってくる可能性はあったのですが、結果はご覧の通り。完璧に全体のトーンに統一感があり、かつ被る部分がほとんどないという奇跡です。すごい本でしょう!(2回目)。

自分の作品について

さて、自分の作品を描くにあたり、初めに取り組んだことは『ニンジャスレイヤー・ネヴァーダイズ』に登場しなかったキャラクターのリストアップと、それぞれが原作登場回からネヴァーダイズ時点に至るまでをどう生きてきたかという設定作りです。アガタ、ムギコ、ギンイチ、イチジク、カキオ、ヘイトディスチャージャー、ミカリ、ユダカ、アキモト、ユカリフォン、ウイチャン、サブロ老人、ハマ少年、オリガミ部の女の子たち、キャプテン・ジェネラル、マスターヴォーパル、マイヤマセンセイ、ウォーペイント、ジェイク、シガキ、ノナコ、ユリコ…まだまだいるんですよね…。

3部ラストの一連のエピソードに共通して描かれているテーマのうちのひとつが、ニンジャスレイヤーが灯した火を知らず知らずのうちにモータルが受け継いで、自分たちを変えていく力とする、というものでした。まさしくミーミーの伝播。これは手を変え品を変え、何度も何度もボンモーが提示しているメッセージなのですが、話の主眼がどうしてもニンジャとニンジャの戦いであるために、末端のモータルたちの描写まで行き渡らない(私はそれでも「ネヴァーダイズ」をめちゃくちゃ評価しています)。なので、僕が私が好きなあのキャラはどうしているんだろう的なことは、まさにニンジャ二次創作でこそ挑戦すべきテーマだったと思います。

そのうえで、ネヴァーダイズをもういちど丁寧に読み返して、時系列を整理してみました。雑なメモですが、これがそれを書き留めた資料です。

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苦労したのが、意外と作中時刻が示されていないという点。夜なら夜の何時くらいかという描写が全くないので、各地で並行して展開している話を別々にまとめて、前後関係から判断したりとか。そのうえで、自分がイメージしたキャラはどこでどう過ごしているかというのを、時系列の網目の中に、想像で織り込んでいったという感じです。

ユダカを主人公とした彼の再起の話にしようというのは、わりと最初のほうに決めました。心の灯を失ってしまったユダカが、ネオサイタマの街を歩きながら何人かの人に出会い、最終的には臆せず抗う人々の姿を見て過去と率直に向き合うことに気づき、再び前を向いて歩き出すという話。これにはあまり悩まなくて、ユダカやギンイチやカキオみたいな描きたいキャラが出ていたエピソードを読み返すうち、自然とこうなりました。

とはいえ、締め切りまで時間もなく、どこまで描き切れるかというジャッジのなかで、端折った部分もわりとありました。宛てもなく彷徨い歩くユダカが、騒乱の発端であるマルノウチへは敢えて行かないという判断をするところとか。カキオのところを出ていったオイランドロイドは、朝には彼の元へ戻ってくるのですが、そこも描けなかった。でも、12ページで表現できることの限界にはチャレンジしたつもりです。説明を最小限に抑えているので、そもそもネヴァーダイズを読破していない人にはまったく分からない、異常にハイコンテクストな漫画になっている自覚はありますが。

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書籍『開戦前夜ネオサイタマ』の口絵のネオサイタマ地図を参考にしながら、実は地理的にも齟齬のないように組み立てています。ネオカブキチョを発ったユダカは、タマ・リバー沿いに南下しながら、カキオの勤める工場(ナックラヴィー戦のあった元スクラップヤードのあたり)を経由して右岸をひたすら歩き、センベイ駅周辺で暴動に参加し、イチジクをオオヌギのギンイチに届ける。オオヌギへのハイデッカー圧力が手薄だったのにも理由があって、埋め立てた親水公園が整備されたてで監視カメラの設置が行き渡ってなかったのですね。うーん、やっぱりもう少し細かく描きたかったところもありますね。

それにしても、キャリバー生存派の方がいたらごめんなさい。オヒガンとは、死者(コトダマ存在)と現世で再会し、共に祈る日。私が描きたかったのは「再会」なのです。ユダカにとってのカシイ、そしてミカリ。ギンイチとイチジクにとってのあの日のアンタイセイ。カキオにとってのエトコ。オオヌギ住民やアウトロー者にとってのオオヌギ。

一方で、プロットの段階で「これは描かないようにしよう」と決めていたものもいくつかありました。一番大きいものはニンジャ。登場人物は全員モータルだけの話にしようと思っていました。細かいところで言うと、最後に登場するミカリの顔を描かないというのも決めていました。原作『ニンジャ・サルベイション』におけるミカリというのは、等身大の女の子ではあるけれども、まったく本心の見えないミステリアスなキャラでもありますよね。彼女がどんな顔なのか、この日偶然にユダカに再会してどんな表情をするのかというのは、私のなかには一定の答えはあるのですが、描かないようにしました。

第3部を共に戦い読破したニンジャヘッズに捧ぐ

小天狗=サンとゆんぺす=サンの作品が本当に素敵です。この本、にんぱくでは完売しましたが、再販の可能性もあるとの話だったので、ぜひなにかの機会に読んでいただけるとうれしいです。ある意味で私たちがニンジャスレイヤーという作品をどう読んでいるか、がものすごく純粋な形で凝縮されている本なのかもしれません。